有名だった高校生バンドはなぜ売れないのか【ストファイHジェネ 閃光ライオット】
「今の高校生はかわいそうだと思います」
「なんで?」
「僕が高校生の時には、ストファイHジェネとか音燃えとか、高校生バンドに陽の目が当たるテレビ番組があったんですが」
「あー、そんなのもあったねぇ」
「優勝したバンドって今もうすごい売れてるんじゃない?」
「…一番売れてるバンドでオリコンTOP20あたりに入ってるかどうかくらいですかね」
「それよりなにより、そんなバンドと同世代だったKANA-BOONやゲスの極み乙女のほうが今や断然売れてるんですよ」
「そうなんだ」
「いくつか例をあげていきましょう」
S.R.S.
airbag
「まずS.R.S ストファイ07の優勝バンドですね。全員1989年生まれで、フレデリック、go!go!vanillasと同い年です」
「ビートルズから影響を受けたUKサウンドを前面に押し出していて、洗練された演奏力に卓越した歌唱力で283組の頂点に立ちました」
「優勝後、翌年テレビ朝日ミュージックからデビューするのですが、4枚のシングルがいずれもオリコンチャートに食い込むことなく2013年に解散しています」
「そんなすごい人たちだったのに」
「次に小林太郎。その翌年の優勝アーティストですね。1990年生まれで、KANA-BOONと同い年です」
「グランジやオルタナティブロックに影響を受けたサウンドと、唸るような激しいボーカルの存在感抜群のアーティストです」
「売り上げにおいてはKANA-BOONと比べると見劣りするものの、ただ小林太郎はそのジャンルにおいて根強い人気を誇っているという感じです。もともとメインストリームにはならないであろうジャンルですから」
「次にairbag。そのまた翌年の優勝アーティストですね。全員1991年生まれで、HOWL BE QUIETやSuchmosと同い年です」
「彼らもまた洋楽に多大な影響を受けており、大会全アーティストの中で圧倒的な存在でした」
「同じく翌年にテレビ朝日ミュージックからデビューするのですが、その後契約解除、最近でもあまり鳴かず飛ばずといった感じです。すごく好きだったのですが」
「少なくとも、同大会に出場し事実上彼らに負けたHOWL BE QUIETやSuchmosのほうが売れているという皮肉な話です」
「最後に黒猫チェルシー。こちらは音燃えに出ていたバンドです。準優勝でしたが、その強烈な個性により音燃え出身者で唯一のメジャーデビューアーティストです。また、彼らもKANA-BOONと同い年です」
「ガレージロックをジャンルとしたバンドで、彼らも同世代では圧倒的な演奏力のバンドです」
「今となっては俳優としてのほうが有名かもしれません」
「田中電子版」
「上記のアーティストが、かつて全国の高校生バンドの頂点に上り詰め、羨望の的となったバンドですが」
「今やどうでしょう。例えばKEYTALK、04 Limited Sazabys、BLUE ENCOUNT、Suck a Stew Dryなどほとんど同世代ですが今現在の知名度なら彼らの方が上です」
「はぁ」
「なぜそうなるのか、ここからは完全に私の主観なのですが」
「一度挫折した人ほど、リスナーに媚びるからだと思います」
「はぁ」
「もちろん優勝した人も挫折の経験はあるはずです。が、優勝してしまった時点でそのものがパッケージングされ世に出る段階で、その上本人たちも自分たちの音楽性を確信しそのままでいく」
「そして審査する側もある程度年いってますからね。どうしても洋楽好みになってしまうのは仕方ないでしょう」
「で、負けたりもしくは出場できずフラストレーションがたまっていったバンドは、それをバネに売れる曲を研究し良くも悪くもリスナーに媚びた音楽を作る努力をする」
「洋楽好み寄りのおっさん達が良いと思って選んだバンドと、今現在売れている音楽を研究しJ-POPに寄り添った音楽を追及したバンド」
「流行りものがすきな若い人はどっちを好むか。っていうのが今の現状だと思います」
「以上。私の主観でした」
「はぁ」
「なんかあれに似てるね」
「小学校とか中学の頃モテた人がさ、その後あまり身長が伸びなくて」
「逆にあんまりモテなかった人が、高校に入るあたりから背が伸びてモテるようになるやつ」
「近いですね」
「人気バンドマンって、意外と昔はモテなかったって人多いらしいです」
「そうなんだ」
「ちなみに今現在、モテるバンドマンのランキング気になりますよね」
「それはこちら!」
「また宣伝オチ…」